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00/11/20 相場の張り方

今回からしばらくは、相場の張り方について私の意見を書きます。

私自身、過去にファンドマネージャーをしておりました。運用がうまくいったと時もあれば、地獄の苦しみを味わったこともあります。総合的にはまあまあの成績でした。偏差値50点というところでしょうか。まあそんなに上手なら今でもファンドマネージャーやってますし・・・。
ここでは相場に勝つためには、というより相場に参加するために知っておいておけばいいことを、書きたいと思います。あくまで参考程度です。

ところで、相場に参加するということは、自分が買ったもの(株・商品・通貨など)の値段が上がる、あるいは自分が売ったものの値段が下がることにより、お金を儲けることを目的に取引をすることです。当然ながら、値段の上がり下がりを予想することが必要です。この予想を行うための方法を、相場の世界では「分析」と呼んでいます。具体的には2つの分析方法があります。ファンダメンタル分析とテクニカル分析です。

株価の動き
この10年間で最も値上がりのした有名な株の一つに、マイクロソフトの株があります。ご存知ビルゲイツ氏の経営する会社の株です。現在このホームページを見ておられる方の多くが、同社が開発したウィンドウズでインターネットエクスプローラーを使われていると思います。<過去5年間のマイクロソフトの株価の動き
過去5年の動きしかグラフで示せませんが、約9ドルが五年間で高値120ドルまで13倍になっています。では、なぜマイクロソフトの株価はここまで上昇したのでしょうか?逆に今年に入り急落して一時は60ドル近くまで売られており、高値の半分になりました。なぜ今年に入って急落したのでしょうか?

株価の上下を何によって説明するか、その原因を特定する方法が2つ(上記のファンダメンタル分析とテクニカル分析)あります。ファンダメンタル分析とは、「値段は取引する対象の本質的な価値によって決まる」という考え方が背景になっています。例えば株価については、「株価は会社の将来の利益の予想によって決定する」といった考え方です。一方テクニカル分析とは「値段は取引する対象の需給によって決まる。ファンダメンタルはその需給を決める一要素にすぎない。それより取引参加者の心理状態の方が重要である。そしてその心理を決めるのは価格の動きそのものである。だから価格の動きそのものを分析すべき」という考え方が背景になっています。どちらの方が合理的なアプローチでしょうか?

理屈から考えれば、ファンダメンタル分析になるでしょう。マイクロソフトに当てはめれば、「ウインドウズやインターネットエクスプローラーといった”売れる商品”を開発し、世界的にヒットしたおかげで、売上げも上がり、利益も増えたため、この5年間で株価は13倍にまで上昇した」という説明は極めて合理的です。しかし、本当に13倍に株価が上昇したことが合理的ならば、なぜ今年に入り半値まで売られたのでしょうか?利益が急減したのでしょうか?

<マイクロソフトの過去5年間の利益の動き>をクリックしてください。出てきた画面の下のほうに「Earnings Growth」という項目があります。過去の利益の成長率を示しています。これを見ると過去5年間の年率の増益率は34.3%ということになっています。5年間の累積では=1.34x1.34x1.34x1.34x1.34=4.32=4.32倍にしかなっていません?!
株価が13倍になって半分になる=6.5倍・・・ということは、13倍は行き過ぎで現在の60ドル〜70ドルの方が合理的な株価?
しかし、1999年のはじめには株価は70ドル。すでに利益の伸びからしたら既に行き過ぎ。しかし、その後1年間で120ドルまで上昇しています。ということは・・・?

といったように、ファンダメンタル分析は一見合理的なようですが、なかなかこれだけでは相場には勝てないのです。

また、実際に株でも商品先物でも取引を経験した場合、儲かったときの優越感・幸福感と損している時の劣等感・不満を否が応でも味わうことになります。
例えば、マイクロソフトは現在も増益を続けていますが、昨年100ドル以上で買った人は、今年あるいは将来の増益を信じていても、現在の70ドルの株価はやっぱり面白くないわけです。ましてや、2002年に利益の減少にでもなろうものなら・・・。
テクニカル分析は何となく「まやかし」という感じも受けますが、実際に相場に参加すると、どうしても必要な分析方法であることが分かっていただけると思います。

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