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00/11/10 実質金利

前回からかなり時間がたちました。再開いたします。

このホームページの読者から多い質問(あるいは希望?)で、「フィリピンは高金利ですよね?私は現在XX万円もっているので、金利収入だけで生活できますか?」というがあります。
またほとんどの方が、「現在XX万円もっています。これを”全部フィリピンペソに変えれば”・・・」という条件付きです。
では本当に円をペソに変えて、それをフィリピン国内でペソ預金することが最善の方法でしょうか?

金利には名目金利と実質金利があります。名目金利は「預金の金利10%」という場合の”10%”そのものです。一方実質金利というのは、名目金利からインフレ率を引いたものです。一年後に金利で10%の利子がついても、物価水準が10%上昇すれば「実質的」な儲けはゼロです。もし物価上昇率が5%ならば、実質的な儲けは10%-5%=5%になるわけです。

では実際に日本とフィリピンの名目金利と実質金利を見てみます。2000年の例では、日本の金利は一年物の預金で0.3%程度、インフレ率は-0.1%です。実質金利は0.4%(0.3%-(-0.1%)=0.4%)です。一方フィリピンの場合は、金利8%(預金金利は10%ですが利子の20%が税金として取られます)、インフレ率が6%。
実質金利は2%となります。0.4%と2%?フィリピンはそんなに高金利の国ではないのです。

また日本人の立場からすると、金利とともに元本の価値も興味のあるところです。一年ほどまえ(1999年11月)ペソは「1ペソ=3円前後」でした。現在は1ペソ=2.2円です。
計算しやすいように一年前は1ペソ=3円とします。1000万円持っていた人が、ペソに変えて10%の預金をしたら、1000万円→333万ペソ→(一年間経って)→366万ペソ→税金を払って→360万ペソ→792万円。高金利と思ってペソに変えていたら、この一年間で200万円以上も損した計算になります。日本円のままならば例え金利がつかなくても1000万円は保証されます。

実質金利、あるいは実質的な価値という視点に立てば、フィリピンの名目上の高金利はそのまま鵜呑みにできないことが分かります。

<現在の為替レート>

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