<最近のフィリピン経済および株式市場の状況>
 
キャピタル・アセット・マネージメント社の運用している、「フィリピン株式ファンド」の
2010年5月の月次レポートによれば、フィリピン経済および株式市場の状況は下記の通りです

■ 5月のフィリピン株式市場: 米中景気の減速懸念、欧州の債務危機懸念で、軟調な展開
 フィリピン株式市場の動きを表すフィリピン総合指数は前月末比で1.7%下落しました。また、通貨は対円で1ペソ=1.8〜1.9円のレンジ相場となっています。
 5月上旬、国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン氏の殺害を受けて、一時市場に楽観的な見方が広がったものの、世界経済の減速懸念を背景に売りが出たことでフィリピン株式市場を含む新興国市場は弱含みのスタートとなりました。米商務省が26日に発表した第1四半期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み、年率)改定値は前期比+1.8%と、速報値から変わらずの数値でした。しかしながら、市場予想の中央値は+2.2%で、昨年第4四半期(10−12月)が+3.1%だったことから米国景気に対する懸念が強まりました。また、NY連銀製造業景気指数やNAHB住宅市場指数が相次いで予想を下回りました。米労働省が発表した4月の米消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比+0.4%でした(前月は+0.5%)。特に、食品と燃料コストが大幅に伸びました。また、中国でも製造活動の指標である5月のHSBC中国製造業PMIは51.1と4月の51.8から低下、10カ月ぶりの低水準となりました。これを受けて景気減速懸念が高まるとともに、フィリピン株式市場を含む新興国市場にとって悪材料となりました。加えて、欧州の債務危機をめぐる懸念も新興国市場に悪影響を与えました。特に、スペインの与党社会労働党が地方選挙で30年ぶりの大敗を喫したことや、格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がイタリアの格付け見通しを引き下げたことを材料に、株式市場は世界的に軟調な展開となりました。

■ フィリピン経済の現況: 輸出増加と海外からの送金で国際収支改善。経済は安定した成長。
フィリピン経済は2010年7.3%の成長を達成、2011年の経済成長率は5%と予想されています。輸出額の増加と海外労働者からの送金によって国際収支も改善されています。フィリピン中央銀行が5月6日に発表した4月末の外貨準備高(速報値)は677億8,387万米ドル(約5兆4,000億円)となり、13カ月連続で過去最高額を更新しました。
前月末からは約18億米ドル、割合にして2.7%増加しました。海外労働者からの堅調な送金は、個人消費やサービス産業の成長も下支えしています。加えて、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の受託がここ数年で急拡大していることも、国際収支をはじめとする経済の安定に寄与しています。
 アロヨ前政権から改善傾向を維持してきた財政は、世界金融危機後の財政出動などを背景に一時的には悪化したものの、景気回復を受けて再び改善トレンドを示していること、国民の高い支持率を維持するアキノ政権下で政情が安定している点も、中長期的なフィリピン株投資への支援材料になっています。
 フィリピンを含む新興国経済は、中国やインドがアジア新興国のけん引役となっていることに加え、ASEAN(東南アジア諸国連合)を代表するインドネシアや南米の経済大国であるブラジルも内需主導で長期的な景気回復が続いており、今後は巡航速度での経済成長が続く見通しです。

■ 今後の見通し: インフレ、金利上昇に注意を要するものの、労働人口の増加から消費市場の拡大期待
 今後の新興国経済の中で注目されるのが消費市場です。労働人口の増加や経済成長に伴う中間所得層の増加といった構造変化も、消費市場の拡大要因となる見込みです。特に巨大な人口を有するアジアでは、購買力の増加に伴って大規模な消費市場が誕生する見通しであり、インフレ率や金利上昇の影響には注意が必要なものの、今後も巡航速度での経済成長が続く見通しです。
 特に、今まで中国やインドの陰に隠れて見過ごされがちであった東南アジア諸国は、労働人口の増加や所得水準の上昇、消費者金融の拡大などによって、消費市場が一段と成長し、新たな大規模経済圏として注目されています。
また、他地域と比較しても高い成長を続けるアジア域内向け輸出の拡大も支援材料として期待されます。
 フィリピン総合指数は年初来1.0%程度の上昇とほぼ横ばいなっています。2011年の予想PER(株価収益率)は13倍程度と、アジアの株式市場の中では比較的割安です。
フィリピンの強いファンダメンタルズによって、2011年の株式市場は堅調な地合いになると見ています。



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