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99/10/19 インフレの原因

インフレには2つの経路があります。まず「原料の値段があがったので値上げ」という経路と「売れ行きがいいので値上げ」という経路です。経済学では前者をコストプッシュインフレ、後者をディマンドプルインフレといいいます。

例えば、ガソリン価格は、原油の値段+(原油からガソリンを精製するコスト)+(ガソリンスタンドへの輸送コスト)+(ガソリンスタンドのコスト)の合計です。
ところが、本当は各項目の「儲け」があるわけですので、
(油田から原油を採掘するコスト+原油国の利益)+(精製コスト+製油業者の利益)+(輸送コスト+運送会社の利益)+(ガソリンスタンドのコスト+ガソリンスタンドの持ち主の利益)となります。それぞれ「コスト」や「利益」として書いた部分が上昇すれば、値段があがるわけです。このコストにかかる分が値上がりすることでインフレになることを、コストプッシュインフレ、一方需要が増す→業者が強気になる→値上げをする(=利益が増える)ことがデュマンドプルインフレということになります。

あと一つ重要なファクターは為替レートです。日本の場合は為替の影響もかなりあります。日本は資源に乏しいため、原材料の多くを輸入に頼っています。当然円安は輸入品の値段を上げますのでインフレに、円高は輸入品の値段を下げるので反インフレの原因になります。さらに円高は日本からの輸出が難しくなるので、輸出業者の経営が悪化し、景気全体にもブレーキがかかり、物への需要がダウンします。輸入も増えるので供給過剰になり、最近は反インフレを超えてデフレになる事態になってきました。

一方円安はどうでしょうか。1970年代前半に為替が1ドル360円から変動為替になって30年間、トレンドとして円高が続いてきたので円安は想像しにくいものです。しかし、海外には通貨が一貫して弱い国がほとんどです。(対ドルで通貨が長期的に上昇しているのは、先進国を中心とする一部の国だけです)。その場合、インフレ率は常に高く、最悪の場合は自分の国の通貨に信頼がもてず、自国通貨は日常生活で使用するだけで、「貯金」などは米ドルで行われています。

では、純粋に国内要因で決まる部分はなんでしょうか。結論から言えば景気です。
というのは純粋に国内部分のコストは突き詰めれば人件費と地代(あるいは家賃)ですが、どちらも景気の影響が強いからです。(もっともこのコーナーは経済学の講義ではないので、すべて網羅しているわけではありませんが)。

非常に大まかにまとまれば、インフレは

海外の原材料がコスト上昇あるいは需要増で値上がりする
為替が円安になる
国内の景気が良くなる

の3つのファクターに分解できることになります。

この3つのリスクで直接値上がりする資産を買っておけば、収入と資産全体では非常にバランスのとれた資産運用ができるわけです。

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